「火星に住むつもりかい?」を読んだ感想。正義とは何か?
転職してから、どうもお腹がすくとすぐイライラします。しかも、それで食べたからといってすぐに治るわけでもない。
でも良いこともあって、この状態だと、体力使わない作業であればすごく没頭できます。
特に読書。満腹だと寝ちゃう。いや普段は読みもしないんですけど。
読まないまま溜めてた本もスイスイ読めます。そんな感じでこちらを読みました。
ざっくり感想
面白かったです!★★★★★!
ただ、キャッキャウフフな軽い展開をイメージしてると、私みたいに途中で投げます。
読んでからわかりましたけど、SFちっくなミステリーです。
伏線が回収されていく様が見事で、中盤から引き込まれる感じ。
登場人物がけっこう多めなので、知らない人名が出るたびにメモするのがよいです。
その点では映画とかに向いてるんじゃないかと思います。(エグいけど)
購入のきっかけ
iPadで読書する本を探してて、たまたま発見。
伊坂幸太郎は「ラッシュライフ」を読んで好きでした。
読まずに溜めてた理由
購入当時、序盤100ページくらいまで読んだですけど、結構描写がえぐいので止めてました。「拷問」がたくさんあります。
この本を最初に買ったのはまだ前職に勤めてた頃ですけど、仕事で精神的に疲れてるのに読み進める気にならず。
タイトルも表装もなんだかゆるふわ、コピーも「破格の娯楽小説!」で楽しそう!と思って気楽に購入。読み始めたら拷問だらけでびっくりです。
似た理由で、huluで見つけたこちらの海外ドラマも、1話の途中でもうバイバイちゃんしました。つまりエグいのが苦手です。そういう描写があるって書いといてよー。
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ちなみにその頃はhuluで妖怪ウォッチばかり見てましたね。
興味持った言葉
正義とは何か
こちらの正義は、あちらの悪、そんなことはあちこちにある。どんなに正当な罰でも、受けた側からすれば悪、となるからね。だいたい、どんな戦争だって、はじまる時の第一声は同じだというよ。
「みんなの大事なものを守るために!」
「正義」とは?っていうテーマだと、私は漫画のワンピースのイメージが強いです。
最後に立っているものこそが正義だ!的な。
「危険な人間が危険人物となるわけではなくて、危険人物と指された人間が、危険人物になるだけだ、と」
ある視点での危険人物が、ある視点では正義のヒーローになる。
もし自分が国家から危険人物だとされたら。実際は、なすすべがあるのでしょうか。
『ヒーローは、目につく不幸な人間を、全員、救わなくちゃいけないのか』って問題です
一人の困っている人間を助けたら、ほかの困っている人間も助けなくてはいけない。なぜなら、「すべての人を救わない」ことは、「偽善」だからだ。
偽善者め!
そう批判される。
「みんなの大事なものを守る!」と掲げても、「みんな」=「大多数」であって、「みんな」≠「全員」。それでいて、「全員」を救えないなら「偽善者」と言われてしまう。
私も、少なくとも実際には言われたことはないんだけど、言われることを恐れてしまいます。
せめて、自分に関わるひとだけでも…。そういう見方では、本の中に登場する「ツナギのヒーロー」に共感してしまいました。
死は選べない
「どれほど善良に、人に迷惑をかけずに生きたとしても、死が穏やかとは限らない」
なんだかグサッときます。
さらに忘れてはならないことがある。自分もいつか必ず死ぬ、そのことだ。しかも、どうやって死ぬのかは、よほどのことがない限り、選べない。
「どうにもならないよ」とさらに言う。
「世の中は良くなったりしないんだから。それが嫌なら、火星にでも行って、住むしかない」
このセリフを放った人物は、少なくとも自分の望む世界に近づくように行動を起こしています。
振り子のように、世の中が良くなったり悪くなったりを繰り返しているとも言っていますが、何もかも「どうにもならない」ことはないからこそ行動しているのでは?と投げかけたくなります。
昆虫の話
もともと、土色っぽい蛾も黒っぽい蛾も、両方、存在していたんだ。昔は、壁の色が土色に近いから、黒いほうは鳥に見つかりやすくてよく食われた。だんだん壁が汚れてくれば、今度は、土色のほうが目立つから、よく食われる。それだけのことで、別に蛾が環境に合わせて、進化したわけではないんだ。
食われる時もあれば、逃げられる時もある。弱肉強食とはいえ、内実は、曖昧だ
ただ、今のキャベツの話は面白いだろ。だって、アオムシ自身が、敵を呼ぶんだよ。
ある登場人物が、よく例え話として昆虫の生態を語ります。この本自体がなかなか規模の大きいテーマですが、引き合いが昆虫というところで身近に感じられて面白い表現だと思いました。
以上ですー。