日本上陸!東京で開催されたルイ・ヴィトン展に行ってきました
東京千代田区にて2016年4月23日(土)~2016年6月19日(日)開催のイベント、「空へ、海へ、彼方へ──旅するルイ・ヴィトン」展を見てきました。
Twitterか何かでちらっと見かけて、たまたま最終日に東京に行く予定だったので、見てみることに。
行列ができるほどの混雑。ゆっくりじっくり見れませんでしたが、会場内が撮影可になっていて、撮りためたものがあるので振り返りながら内容を紹介していきます。
会場の様子
展示専用の特設会場が設置されていました。なんだかおしゃれな人がたくさん。どうやら、この展示のためだけに建てた会場らしいです。
並び続けて、やっと中に入れた!と思ったらまだ行列。入り口前のスタッフさんはみなさん背が高くスラっとしてました。
会場内の壁にプリントされていた、今回の展示のロゴ。おしゃれ。
これは今回の展示用の広告モックアップとのことです。
部屋ごとにテーマ・雰囲気がガラッと変わり、見ていて飽きず楽しかったです。特設の会場とは思えない上質さが漂っていました。
展示内容
ルイ・ヴィトンは、1854年(34歳)に創業。16歳の時に職人見習いとして雇われてからそれまでの間、日用品や衣服を荷造りするための箱や木箱を制作していました。
今でこそ当たり前の形になっていますが、頑丈さ・軽さ・機能性を兼ね備えた「平らな蓋のトランク」を考案したのが彼だそう。
さらに1875年には「縦型ワードローブ・トランク」を生み出し、旅に欠かせないカバンとしての地位を確かなものにした、とのことです。
展示の初めに見る、きっと特別な一品。1906年に作られたトランク。
このような「蓋が平らなトランク」だけでなく、キャビン用、自動車用、飛行機用など旅の移動手段に合わせた形状へと、カバン・トランクを幅広く発展させてきました。
木材
初期の紋章のスケッチがいくつも展示されていました。トランク製造技術を表すものだったそう。
動植物などモチーフがあると、いかにも紋章らしくなります。
初期から、「ヴィトン」の「V」は大切なモチーフになっていたんですね。
荷造り箱職人が使う、木製の道具が並べられていました。締め金、毛引、補強材など。
毛引も、普通の毛引、ルーター毛引、ジャック用毛引、試験用毛引など多彩だったようです。
職人の様子のスケッチもありました。
クラシックなトランク
木箱の上に、大小さまざまな四角い形状のトランクが展示されていました。
年季を感じる風合い。実際に使用されていた品も展示されていて、その品質の良さ、頑丈さに驚かされます。
内側に仕切り版の入ったトランク。側面に色々なステッカーが貼ってありますね。
帽子や小物、書類も入る、機能的なトランク。
クローゼットと一体化してるトランクも!もはや家具ですね。
カラフルな仕分けボックスが詰まったトランク。工夫次第でより使いやすくできる、元の機能のシンプルさも魅力的です。
当時の広告用ステッカーや、ロック(鍵)番号集も。。ロック番号、こうやって冊子にしてアナログで管理していた時代もあったんですよね…。
旅の創造|遥か異国の地への冒険
1924年〜25年、ルイ・ヴィトンはアフリカ探検プロジェクトに参加、協力します。このプロジェクトのために開発された探検用自動車での移動や過酷な天候・地理に耐え、かつ必要な日用品を運ぶのに適したトランクを制作しました。
この次は、太平洋横断の探検プロジェクトに参加します。アジアを横断しシルクロードを突破することが目的で、今回もその目的にかなうようなトランクを制作しました。
この部屋は砂漠と海をイメージした展示になっていました。
部屋の中央には、船のマストがそびえ立っています。
ドーン。インパクトあります。
船上をイメージした壁紙。リアル。
軽やかで涼しげなファッションと、カバン。
船上でもおしゃれな柄が好まれたのでしょうか。
反対へ向くと、砂漠イメージの展示。
銀色でよく目立ちます。移動式のハンモック(ベッド)も収まるんですね。
水筒があると探検隊らしさがあります。
旅の創造|スピードを操る自動車の旅
自動車の旅…ドライブにとって、カバン・トランクは欠かせないものでした。
当時の自動車は、流線型で屋根のないものが主流。サングラスをかけ、ヴェールを巻いた女性が平らなモロッコバッグを携える。おしゃれな光景が目に浮かびます。
大小さまざまなサイズを揃え、香水などが取り出しやすいデザインは、20世紀のハンドバッグファッションの先駆けになったそうです。
自動車の上や後ろには、カー・トランクを取り付けたそう。さらに、フットレスト用のブリーフケース、ピクニック・トランク、クーラーボックスなども活躍したそう。
今はさまざまな物がコンパクトになってきているので、カバンがドライブに必須!という感覚はないのですが、当時は違う感覚だったのでしょうね。
自動車、というか森林ゾーン。なるほど今に比べると山道が多かったのでしょうか。
当時のドライバーの写真でしょうか?
彼らがつけていたのと同じようなゴーグル。この辺りあまりよくわかりませんでした。
黒いトランクと、バッグ。かなり丈夫そうに見えます。
珍しい、青色のロゴ模様のトランク。
展示されているトランクは、「〜〜〜王子」など、なんだか凄そうな方の所有物もたくさんありました。
ティーセットトランク。優雅。
食器セットトランク。今と違って、ピクニックは荷物の持ち運びが大変だったんでしょうね…。(いや、今も同じなのでしょうか?!)
毛皮のコート。これなら暖かそうだし、おしゃれ。
旅の創造|空の旅のトランクやバッグ
20世紀初頭、ルイ・ヴィトンは飛行船・飛行機など空の移動を開拓した人々とも関係がありました。衣服を含め、総重量26kg未満のカバン「マル・アエロ」など、軽量で機能的なカバンを制作しました。
「空」と「ヴィトン」の関係はそれだけではなく、ルイ・ヴィトンの孫(ジャン・ヴィトン、ピエール・ヴィトン)がヘリコプターと飛行機のプロトタイプを作り上げました。
森林ゾーンから飛行機ゾーンへの通路の様子。撮影の人だかりができています。
今回の展示の象徴にもなっている飛行機の巨大模型。
空の中に浮かんでいるような展示でした。
靴用のバッグや、飛行機のミニチュア模型が展示されています。
なんの冊子だったか覚えてないのですが、同時の飛行機の様子が伝わる写真です。
軽量な服、おしゃれさもバッチリ兼ね備えています。
ピエール・ヴィトンと、ジャン・ヴィトンの肖像画。そして、ピエールが設計した単葉機の模型!タケコプターみたいですね。
旅の創造|列車の旅、新たな地平線へ向かって
1830年代には蒸気船の利用開始。1848年は鉄道、1890年代は自動車、1900年代は民間航空機が発明されます。
こうした輸送手段の進化により、北海や地中海沿岸の漁港などは気軽に行けるリゾート地へと変化を遂げ、旅もより身近なものになったのです。
衣服やカバンも、旅行者の快適さを追求する技術的な開発が進みます。寝台車の座席の下にすべり込ませられるキャビン・トランクや、深みのあるコニャックやグレー色のナイトバッグ、ガーメントバッグが生み出されました。
列車の中をイメージした展示室。列車にしてはすごい高級感。
投影された映像は動画になっていて、移動する列車を演出していました。
展示されているたくさんのステッカー。
ホテルのステッカーです。その荷物の旅行者がどこのホテルの客なのか判別するのに役立ったらしいです。洒落てます。
靴磨きセットでしょうか。開くと中央部が上に出てくるの、便利ですね。
衣服。普段着というか、リッチなパジャマ感もあります。
余暇の時間|ルイ・ヴィトンの書の美学
ルイ・ヴィトンは、著名・無名に関わらず多くの作家とも交流がありました。ライブラリートランク、移動式オフィス、グリモワールケースなど画期的なトランクがいくつも生み出されました。
「ヴィトン」と「書」の関係はそれだけではありません。ルイ・ヴィトンのモノグラム(VとLを重ねたロゴ)を、ルイ・ヴィトンの孫…ガストン・ルイがリデザインしました。
彼は「書の美学、ストーリーを語り感情を表現するという生き方を大切にしていました。書を蒐集するほど愛していた彼は、図案家としての活動にも取り組みます。
そんな彼のモノグラムがこうして長く愛されているというのも、素敵なストーリーだと感じます。
紫を基調にした、シックな展示室。
壁の生地にもモノグラムが!手が込んでます。
ライティングセット。サメ革もいい色しています。
手帳でしょうか。現代のものと見た目が遜色ないですね。
「je tu il perfume」。何か崇高な気配があります。
グリモワールケース。たくさん詰め込まれている…!
グラフィティキャンバスのバッグ。書…タイポグラフィーが印象的なラインナップですね。
絵画用トランクーアートとの対話
ルイ・ヴィトンとアートのつながりは、どうして生まれたのか。
1927年に、著名なアートディーラー(ルネ・シャンベル)が、パリ・ロンドン・ニューヨーク間を行き来するのに最適なトランクをオーダーしました。そうした顧客との関係が深まっていった結果、アートの世界における地位も確立していったようです。
シンプルな、まさに美術館のような展示室。
村上隆氏とのコラボレーション作品が展示されていました。これは絵画。
こちらはバッグ。キャンバスがバッグになっただけで、どちらも芸術作品ですね。(実際に日常使いするような方もいらっしゃるんだろうか)
奥の棚に並んでいるのは、ガストン・ルイが蒐集したあらゆる時代のトランク・チェスト・ケースのコレクションです。こうした品々から、さまざまなインスピレーションを受けて制作していたのでしょうか。
ファッションとビューティー|セレブリティやスーパースターのためのトランク
ルイ・ヴィトンがセレブ向けのブランドとして開花したのは、1920〜30年代にかけてのことです。
1925年、パリ現代装飾・工芸美術国際展覧会に「ミラノ」が出品されるなど、その地位を確かにする時代でもありました。
ガーメントバッグ、クロコダイルやモロッコレザーの化粧品ケース、ガラス瓶、ジュエリーボックス…。煌びやかな世界が広がっています。
シャンデリアのあるゴージャスな展示室。
キラキラとしたショーケース。鏡張り。
セレブ所有のトランクたち。
香水専用のラウンドケース!普通に欲しい。
ファッションとビューティー|繊細なガラス瓶や優美なジュエリーボックス
ガストン・ルイ・ヴィトンは多様性を追求し、1927年に初めてルイ・ヴィトンブランドのフレグランスを生み出しました。
少し狭い展示空間。ガラス瓶とスケッチが並んでいます。
植物をテーマにした、繊細な筆使いのボトル。
こちらは、表面に凹凸のつけられたシンプルでモダンなボトル。工芸品ですね。
ボトルデザインのスケッチ。高い完成度で再現されていました。
ファッションとビューティー|ファッションとクリエーション
1997年、プレタコルテ(高級既製服)が正式にルイ・ヴィトンの事業に加わります。それから16年の間、マークジェイコブス氏がアートディレクターを務めました。
ブランドの世界観をより豊かにするとともに、村上隆氏も含む現代アーティストたちとのコラボレーションにも取り組みました。
そして、2014年からウィメンズコレクションのアートディレクターに就任したのは、ニコラ・ジェスキール氏。伝統の中にオリジナリティを加え、あらゆる世代から支持されている…と紹介されていました。
撮影スタジオをイメージした展示室。
化粧道具ケースだそうです。香水瓶の形状と、収納スペースのレイアウトが見事。
他にも色々な化粧道具ケースが並んでいました。
こちらは革小物一式。手前にあるのは、目巻式アラームクロックだそうです。
移動式のクローゼットケースでしょうか。
ミュージックルーム|夢を形にするスペシャルオーダー
楽器は、繊細で慎重な取り扱いが求められる、最も持ち運びが難しいアイテムの一つ。ルイ・ヴィトンは、機能性は確かでありながら、デザインも洗練されたケースをオーダーに応じてつくり上げてきました。
全景が撮れなかったのですが、楽器やトランクが宙に舞う、音楽の自由さ・楽しさを象徴するような展示。
ギターやレコードが収納できるトランク。
赤いのは、指揮棒を収納するケース。その横にあるのは、バイオリンを収納するケースです。
楽器やオーダーによって、形状も色彩も様々に変えているんですね。
インスピレーションの国、日本
最後の展示室は「和」の空間。手前に写っている、ぽっかり穴が空いているバッグは、コム デ ギャルソン 川久保玲氏とのコラボレーション作品ですね。
草間彌生氏とのコラボレーション。
大きいのもあります。
こちらのチェリー柄。ぱっと見わかりにくいですが、よく見ると村上隆氏のコラボ作品だと気づきます。
こっちはわかりやすいですね。
畳の縁にも、モノグラム!
「ITAGAKI」と書かれているこちらのトランク。「スティーマ・トランク」とよばれ、実際に板垣退助氏も利用していたそう。
実演
展示を抜けると、何やら人だかりが。
職人?の方が、そこで実際に何かをつくっていました。近くに行かなくても、モニターで手元の様子が確認できるのが親切でした。
最後の購買スペース。並べられている冊子もおしゃれでした。
まとめ
本当びっくりするくらい気合の入った展示。ルイ・ヴィトンって何だっけ…(!?)という知識レベルだった私でも、こうして楽しめました。
なかなか自分の手の届くブランドではないですが、これからを応援したくなる、これからが楽しみだと思えるような内容で素晴らしかったです。
ちなみに入場無料で、最後にはポスターももらえました。すごい。
ぜひ次の機会があれば、ゆっくりじっくり見たいなあ…。