「ポール・スミス展」がオシャレでポップで楽しかったです
名古屋 松坂屋美術館にて開催されていた「ポール・スミス展 | HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH」を見てきました。
本展覧会では、ポール自身が、これまでに関わってきたものの中から自ら選んだ展示によって、ノッティンガムで小さな店を始めてから現在のグローバルな企業になるまでを、皆様にご覧いただきます。そして、ポールのデザイナーとして、経営者としての重要性だけでなく、そのオリジナリティーとインスピレーションがどのようにしてデザインに活かされ、今日まで続くブランドの基盤となっているのかを探ります。
- 展示冒頭のパネルより
この通りの内容だったのですが、ただ資料を並べるのではなくユニークで見栄えのする展示になっていて、きっと本人も心から楽しみながらつくったんだろうなあと思わせるステキな内容になっていました。
展示の特徴
会場内撮影可!
フラッシュや三脚の利用は禁止でしたが、会場内は全て撮影可。
ハッシュタグ「#hellopaulsmith」が用意されていて、ツイートなりシェアなりもできます。SNS時代にもマッチした展示ですね。
遊び心が満載!
例えばこちら。入ってすぐ、反対方向の進路に目を向けると置いてあるマネキン。
順路の矢印が反対向きになってるのを赤字で修正されてます。ちゃんと手にマーカー持ってておちゃめ。
ポール氏のパネルと写真撮れます。表情もポーズもおちゃめ。
こちらは展示の最後にある撮影スペース。長身イケメンのスタッフさんがスタンバイ。
「Anglepoise(アングルポイズ)」の巨大ライト。
撮った後にはフォトカードをプレゼントしてもらえます。(プレゼントに気付かず、撮影してもらうのを逃してしまった…)
ハッシュタグの方を見ていただければと思いますが、こうした「遊び心」につられてか、参加者もみんな楽しげに写真を撮っていました。
松田翔太さんの音声ガイド
チケットを買うと、ピンク色のイヤホンがもらえます。
何に使うのかなと思えば音声ガイド用で、作品横に設置されたQRコードをスマホで読み取って聞くという仕組みでした。しかも声は松田翔太さん。
じっくり聴いて見ようとすると結構時間がかかるので、時間に余裕をもって来たほうが良さげです。
展示の様子
入り口
入り口。天井にかかる大きな「HELLO Nagoya」のタイポグラフィーが目立ちます。
ポール・スミス1号店
このピンクの箱は、ポールの最初のお店の広さ(狭さ)とレイアウトを表現。
ポールの頭の中
アイデアはどこからでも湧いてきます。―どんなものからでもインスピレーションを得られるのです。
と、ポール氏。この部屋は、彼がどんなものを観察してインスピレーションを得ているのかを体感する、あたかも頭の中を覗くかのような展示でした。
何気ないようでいて、時にビビッドで、繊細で、激しいモチーフの数々。「人は見ているようで、実は見ていないのです」と書かれていましたが、それを実感できるインスタレーション作品でした。
ホテルのベッドルーム
ポールの初めての「ショールーム」を模した展示。
ホテルの一室で初めてのショール―ムを行ったそう。それも、シャツ6枚、セーター2枚、スーツ2枚という10着だけのラインナップで。
なぜそうすることになったのか、経緯の方も気になります。
ポールのオフィス
これはポール氏のロンドンオフィスの再現。とにかくものに溢れています。「オフィスは私の頭の中そのもの」だそうで、集められた様々なものからインスピレーションを受けているとのこと。
ポールのアートウォール
ポール氏のコレクションも展示されていました。なんと10代の頃から写真や絵画を蒐集しているそうです。
壁にぎっしり並べられた作品の数々。
ポートレート、抽象画、風景画、ポスター…。作品の内容も様々で、ロンドンの作業場にも似た混沌さがあります。
デザインスタジオ
こちらは、ポール・スミス社のデザインスタジオの再現。
ありのままを再現したかのような、とっちらかった光景。
部屋のすみっこに、靴や布きれのサンプル的なものが。
こちらはファブリックのサンプル集でしょうか。
様々な色の組み合わせの布と、ネクタイ状の型。
ポール・スミスといえばストライプ柄のイメージがありますが、こうして確認しながら作られているんですね。
年季が入ってそうなペンタブレットと、メモがテープで貼られた状態のPC。
とにかくいろんなものが展示されていました。服飾・ファッション関係の方であれば、それぞれ何の道具なのかなどわかって、より楽しめるのではないでしょうか。
ショップ
世界中にある各店舗。一つとして同じものはなく、ユニークな個性が出せるよう、そして来た方が何も買わなかったとしても楽しめるよう自分たちでデザインしているそうです。
そんなそれぞれのお店の個性や魅力を、映像や店舗外内装の素材などを通じて感じられる展示でした。
ボタンウォール
なにやらモザイクっぽいこちらの壁。
近づいてみると…!
全部ボタン!ポール氏が今回の展示にあたって制作したそうです。
プロモーション
あらゆる形のプロモーション(広告など)表現が展示されていました。
これらは雑誌用の広告ですかね。
スタッフ用のタグ。どれもクールでモチベーション上がりそう。
パッケージデザインでしょうか。カラフルでオシャレ。
これは、ポール氏愛用のカメラだそう。写真好きだそうで、彼が撮った写真をそのまま利用するケースもあったようです。
コラボレーション
ひときわ目立っていた、MINIとのコラボカー。
後ろからの画。きれいなストライプ柄。
オリジナルのエンブレムもついてました。
他にも、様々なプロダクトとのコラボレーションが展示されていました。
エビアンとのコラボ。雑誌広告か何かで私も見たことがあります。
ライカとのコラボ。おいくら万円するんだろう…。
デヴィット・ボウイ氏とポール・スミス氏は長年の友人だそうです。
このアルバム「The Next Day」の赤盤は、ポール・スミス完全限定盤。
Paul Smith for David Bowie - Paul Smith World - News
トライアンフとのコラボ。ヴィヴィッドな色使いが新鮮。
ナンバープレートにPaulSmithの刻印があります。
ファンからポール氏の家に郵送されてくるという珍品(グッズ)の展示もされていました。
こんな感じで、直接切手を貼って住所を書かれたものが送られてくるようです。
「P」のモチーフ。とにかくなんだかよくわからないものがたくさんありました。
そうした物たちをモチーフとして捉えて、インスピレーションに変換する姿勢が凄い。
コレクション
ファッションショーに関する映像が見れるコーナーがあります。
実際の現場のムードがとてもゆったりしていて、ポール氏が賞賛される秘訣のようなものが垣間見れる内容となっていました。
メンズ、ウィメンズそれぞれのショーの様子も流れていました。終盤など途中で、ポール氏がモデルの子と肩を組んでいたりとやっぱりおちゃめ。
ショーでも使われたファッションの実物が展示されていました。
とにかくハイセンスでオシャレ…!
まとめ
全体を通して、ポール氏のあふれんばかりのクリエイティブ&ポジティブな思考が伝わってくる展示でした。始まりから今に至るまで、とにかく好きなことを追求してきたのだなと。
この展示には、上から目線というか、「〜〜を学ぼう」みたいな教育要素は一切ありません。ネガティブな要素もありません。あるのは、ポール氏のクリエイティブ、そして明るくユーモラスな演出だけです。
それは清々しいほどで、これで成立させてしまうのだからなるほどポール氏の凄さ・影響力を体感できる展示だと思いました。
他のファッションブランドはどのようなリーダーがどんな思考で創りあげたのか興味も湧いてきました。
名古屋会場は「10月16日(日)」が最終日とのことです。